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モデリングツールの選択

ロボットを作るには、まずロボット全体の構想をまとめるのが本筋かもしれません。
とはいえ、作ること自体が目的の趣味ですから、あれこれ形を作りながら構想をまとめてもいいと思います。また、早晩、モデリングツールは必要になります。
というわけで、最初に、3Dプリンタで出力する物体のデータを作る、モデリングツールを選ぶことにします。

モデリングツールには、3D CAD系ツールと3D CG系ツールがあります。
大雑把に言って、3D CADは「正確な形を作るのが得意なツール」で、3D CGは「感覚的な形を作るのが得意なツール」だと認識しています。

フィギュア風ロボットの場合、どちらでもいけるような気がしますが、基本部分はロボットであること、BMFを使う関係で多少は精密な設計が必要になるので、3D CADから選択することにしました。とはいえ、フィギュアとしての外見を重視するので、3D CG系のような感覚的モデリングも可能であることが望ましいでしょう。

個人的な事情で、OSにはMac OS X(El Capitan)を使うことにします。
数年前にiOSアプリの作成を始めた(現在は休止)ときに、メインマシンをMacに変更し、その後、Windows環境はVMware FusionでMac上に移行して、引越しの際にWindowsマシン自体も処分しました。正直なところ、Macを使い始める前はWindowsから完全移行するとは思っていませんでしたが、今となってはWindowsマシンを購入する動機があまりありません。(Ubuntu専用マシンとして欲しい程度です)
そのようなわけで、VMware Fusion上でWindows用アプリが使えないわけではありませんが、Mac版のほうが都合がいいのです。

以前、個人向けCNCフライス盤を使っていたときにも某3D CADを使っていたのですが、Windows版であること、古すぎる(バージョンアップできない)こと、ライセンス関係のファイルがどこかにいってしまったことなどから、改めて新しい3D CADを選びます。

ネットで調べると、Autodesk社の123D DesignとFusion 360がよさそうなので、順番に試してみます。

Autodesk 123D Design
無料で使える3D CADとして有名なツールです。App Storeからインストールできます。
AutodeskIDを取得しなくても、スタンドアロンでそのまま使えるようです。
英語のアプリですが、日本語の解説書もいくつか出版されているので、初心者でも始めやすいでしょう。
Autodesk 123D Design
Autodesk 123D Design
試しに使ってみた感想として、非常にシンプルで使いやすい3D CADだ、と思いました。
ただし、アセンブリ機能が非常に弱いこと、感覚的なモデリングができないことなど、今回の目的には向かないようです。

アセンブリ機能とは、別々に作ったパートを集めて、結合したり回転軸を設定して、最終的な形や衝突の有無を確認できる機能です。123D Designでできるアセンブリ機能は、insertしたパートをsnapで結合したりする程度のようです。使い込んでいないので間違っているかのしれませんが、あまり高機能でないのは間違いありません。

Autodesk Fusion 360
こちらは基本的には有料のツールですが、多くの個人目的の利用には無料で使えます。
Autodesk社のWebサイト「http://www.autodesk.com/products/fusion-360/overview」からダウンロードしてインストールできます。
クラウドベースのサービスなので、利用にはAutodeskIDの取得が必要です。(AutodeskIDは無料で取得できます)
Autodesk Fusion 360
Autodesk Fusion 360
123D Designに欠けているアセンブリ機能があり、3D CG系ツールのような感覚的モデリングも可能です。
アプリは日本語表示に対応しています。(2015年に使い始めたときは英語表示のアプリでした。便利になりましたが、英語表示で使い始めたので、多少違和感も感じます。ちなみに、設定で英語表示にもできます)

ただし、ヘルプやチュートリアルは英語です。動画で解説しているページも多いので、難儀するかもしれません。
123D Designと比べてハードルが高いですが、基本的な操作の一部は123D Designと共通しているので、123D Designからは移行しやすいでしょう。

有料ツールですが、30日間の無料期間があるのと、その後も、学生や教育者は3年間、非営利または100Kドル未満のビジネスの場合は1年間、無料で使えます。無料期間が終了した後も、その時点で条件を満たすならば、ライセンスを更新できるようです。
なお、ライセンス料は25ドル/月です。フル機能の3D CADとしてはお得に感じます。(URL)
Autodesk Fusion 360 license
ライセンス選択画面
とてもいいツールだと感じますが、使っていてよく落ちるのは気になります。
私の環境が古い(Mac mini 2011年モデル 8GB)のが原因かもしれませんが、直方体に溝と穴を4〜5個掘っただけで、CPU使用率100%で無反応(何分待ってもそのまま)になることがあるのには閉口します。
アプリを強制終了させて再起動すると、リカバリファイルがあるらしく、大抵は処理が完了した状態で再開できるので、取り敢えず致命的な問題にはなっていません。

しかし、ときどき、移動も削除もできない、孤立した面が出てくることがあります。こうなると、データを削除して最初から作り直すしかありません。

もう1つ、Fusion 360がクラウドベースのサービスであることにも注意が必要かもしれません。
ネットに繋がらない状態でも何日かは使えるようですが、基本的にファイルはクラウド上に保存されます。これは便利であると同時に、ネットが遅い環境では問題になります。
私はネットの接続にWiMAXを使っており、数百kbps程度の速度です。それでも大抵は大丈夫なのですが、保存や読み込みのたびにネット上をデータが行き来するので、データが大きかったりすると問題が起こります。アップロードが始まると途中で止める手段がないのです。(削除もできません)

以上、総合的にAutodesk 123D DesignとAutodesk Fusion 360を比較すると、私の目的には123D Designでは力不足であり、Fusion 360が必要なようです。

以上の理由で、Autodesk Fusion 360を使っていくことにします。

MakeHuman
もう1つ、フィギュア風ロボットの外見を作るための補助として、MakeHumanを使うことにします。

MakeHumanは、人体の3Dモデルを作れるアプリです。
同種のアプリとしては、SmithMicro社のPoserが有名です。Poserが有料アプリなのに対して、MakeHumanはオープンソースで開発されている無料アプリという特徴があります。
機能的にはPoserの方が優れていますが、無料で使えるのは大きなメリットです。
MakeHuman
MakeHuman
MakeHumanは、Webサイト「http://www.makehuman.org」のDownlonadページからダウンロードします。
Webサイトは英語ですが、アプリは日本語表示も選択できます。

MakeHumanには、OBJファイルやSTLファイルとしてExportする機能があり、Fusion 360には、SCULPTモードのINSERT→Insert Meshで、OBJファイルまたはSTLファイルをinsertする機能があります。

以下の画面は、MakeHumanからExportしたSTLファイルをFusion 360にMeshとしてinsertした状態です。
Lady
MakeHumanのデータをFusion 360にinsert
しかし、MakeHumanで出力したOBJファイルやSTLファイルには、 Fusion 360用のデータとして、次のような問題があります。
  • (1)不要な構造がある。
  • (2)三角形ポリゴンが多すぎる。
  • (3)ポリンゴ数が多すぎる。
そのため、Blenderも使うことにしました。

Blender
Blenderは、オープンソースで開発されている3D CGアプリです。無料で使えます。
Blenderは、Webサイト「http://www.blender.org」からダウンロードできます。
Blender
Blender
Webサイトは英語ですが、アプリは日本語表示も選択できます。

MakeHumanのデータをFusion 360にinsertする際の問題を解決するために、MakeHumanからExportしたデータを、いったんBlenderに読み込んで、以下の処理を施した後でOBJファイルとして出力して利用することにします。(BlenderからSTL形式でExportすると、三角形ポリゴンになってしまうようです)
  • 頭部など、不要なデータの削除。
  • ポリゴン数の削減。
  • 四角形ポリゴンに変換。

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